■動作の補正について

動作テーブルを持ち、なんらかのフィードバックデータにより動作テーブルを補正することについて。サーボに与えるデータはある時間遅れと負荷や機構のクリアランスを持って肢全体に現われる。よって、基本的に指示通りの動作を行うことは無く、遅れや歪みが生じる。

動作の遅れや歪みを小さくするには、単純には応答速度を早め、トルクを大きくすることによって成すことが出来る。ただ、有限な資源の中、単純にトルクを大きくするということは制御として適していない。エネルギーを最低にするための取り組みが必要である。このためにはサーボに加わる荷重を小さくする・動作速度変化を小さくする、などの動作テーブル自体の最適化が必要である。

このため、動作テーブル通りの動作をするためのフィードバックと動作テーブルの最適化のためのフィードバックが必要となる。

以下にこの実装を考える。
まず、初期状態は理想状態なので、動作テーブル=理想動作 であると仮に置く。しかし、実際に動作を行うと 動作テーブル≠実動作 となる。
ここで差分が生じるため、フィードバックが行われる。しかし、理想動作の形状に急峻な変化が含まれていたりすると、フィードバックによる補正には限度があり、発振してしまう。(安定しない)
ここで、動作テーブル=理想動作 の見直しが必要となる。不安定の原因として考えられるのは速度とトルク不足である。

まず、速度について考える。
サーボの基本性能として速度限界がある。また、速度限界は負荷によって変化する。更には肢の構造上、サーボは軸回転としてトルクを発生させるうえ、外部負荷は重力である場合が多く、軸の受ける負荷は常に変化する。速度限界を超えた場合、理想と現実の差は時間が経つほどに広がっていき、追随は不可能になる。※正確には負荷によって変化するのは慣性力が増すことで加速度限界が変化するのであるが、サーボは移動距離が小さいため、速度限界とした。

次に加速度の場合を考える。
加速度は速度変化量である。関節の動作で大きな加速度が発生するのは・動作開始・動作停止・回転方向変更この3つである。回転方向変更は「動作停止−動作開始」の組み合わせとも置き換えることが出来る。これについてもサーボの基本性能としてのトルク限界がある。負荷が十分に小さい場合は追随できる加速度も、負荷の増加とともに追随することができなくなる。

この二つのケースについては関節角度の実測値と理想動作値の比較及び、サーボ軸の負荷を監視することでフィードバックをかける。

差分の抽出方法について
FFTを用いた差分抽出を考える。
過速度による遅れは、主周波数の位相遅れとして見える。印加波形の位相を早めることで対処する。理想波形の過加速度については周波数成分の高周波分の成分差によって見える。これは実測波形の周波数成分と比較し、カットオフしたデータを逆FTTをかけることで高周波成分を除去する。

FFTについて